投げると肩が痛い。
そのときに、
「腱板」
「インナーマッスル」
という言葉を聞くことがあります。
肩のインナーを鍛えた方がいい。
腱板が弱いのではないか。
肩を支える筋肉が大切。
このように言われることもあります。
もちろん、
腱板の働きは投球障害肩を考えるうえで大切です。
ただ、
腱板を単に「鍛える筋肉」としてだけ考えると、
少し分かりにくくなることがあります。
投球で大切なのは、
腱板が強いかどうかだけではありません。
投げる動きの中で、
肩が良い位置を保ちながら動けているか。
肩の支えがうまく働いているか。
安心して腕を振れる状態にあるか。
こうした視点が大切です。
この記事では、
投球障害と腱板機能について、
一般の方にも分かりやすいように整理していきます。
腱板とは肩を支える大切な組織
腱板とは、
肩の深いところで働く筋肉と腱の集まりです。
一般的には、
インナーマッスルと呼ばれることもあります。
腱板は、
肩を動かすだけでなく、
肩の関節を支える役割も持っています。
肩は大きく動く関節です。
大きく動ける一方で、
動きの中で肩の骨が良い位置を保ちながら動くことが大切です。
そのときに、
腱板は肩の内側から支えとして働きます。
つまり腱板は、
ただ腕を動かすための筋肉ではありません。
投げる動きの中で、
肩がうまく支えられ、
安心して腕を振れる状態を作るためにも大切な組織です。
関連記事:
投球で肩を支えるとはどういうことか
腱板は強ければいいわけではない
腱板というと、
「弱いから鍛える」
というイメージを持つかもしれません。
もちろん、
腱板の筋力を十分に発揮できることは大切です。
ただ、投球障害肩では、
腱板が強いか弱いかだけでは判断しにくいことがあります。
大切なのは、
投げる動きの中で、
必要なタイミングで働いているかです。
力を入れればよい。
たくさん鍛えればよい。
強くなれば痛みがなくなる。
そう単純に言えないことがあります。
腱板は、
肩を固めるためだけに働くものではありません。
大きく動く肩を、
動きの中でうまく支えるために働きます。
そのため、
腱板機能を考えるときは、
筋力だけでなく、
動きの中で肩の支えとして働いているかを見ることが大切です。
投球では腱板に大きな負担がかかる
投球では、
肩が大きく動きます。
腕を後ろに引く。
肩を外に開く。
強く腕を振り出す。
ボールを離す。
投げ終わった後に腕を止める。
この一連の動きの中で、
腱板には大きな負担がかかります。
特に、
強く投げる。
球数が増える。
疲れてくる。
フォームが崩れる。
体全体で力を伝えにくくなる。
このような状態では、
肩の内側で支える腱板にも負担が集まりやすくなります。
その結果、
投げると肩が痛い。
投げた後に肩が重い。
強く投げると不安がある。
翌日まで違和感が残る。
このような形で出ることがあります。
投球障害肩では、
腱板そのものだけでなく、
腱板に負担が集まりやすい投げ方や体の状態も一緒に見ることが大切です。
腱板が働きにくいと肩の支えが崩れやすい
腱板がうまく働きにくくなると、
投げる動きの中で肩の支えが崩れやすくなることがあります。
肩の骨が良い位置を保ちにくくなる。
肩に力みが出る。
腕だけで投げるようになる。
投げた後に重さが残る。
強く投げると痛みが出る。
このような状態につながることがあります。
ただし、
腱板が働きにくいからといって、
必ずしも腱板だけが悪いわけではありません。
下半身や体幹から力を伝えにくい。
肩甲骨まわりがうまく働きにくい。
疲労がたまっている。
投球量が増えすぎている。
痛みをかばって力みが出ている。
こうしたことが重なると、
腱板に余計な負担がかかりやすくなります。
そのため、
腱板機能を考えるときも、
肩だけを見て終わりにしないことが大切です。
インナーを鍛えても痛みが変わらないことがある
肩が痛いとき、
インナーマッスルのトレーニングを行うことがあります。
これは大切な取り組みです。
ただ、
インナーを鍛えているのに痛みが変わらない。
チューブトレーニングはできるのに投げると痛い。
軽い運動では問題ないのに、強く投げると痛い。
このようなこともあります。
これは、
インナーの運動が意味がないということではありません。
ただ、
投球で必要な腱板機能は、
単純な筋トレだけでは判断しきれないことがあります。
投球では、
肩だけでなく、
下半身、体幹、肩甲骨、腕の振りがつながって動きます。
その中で、
腱板が必要なタイミングで働けているかが大切です。
だからこそ、
インナーを鍛えることだけでなく、
投げる動き全体の中で肩が支えられているかを見る必要があります。
腱板だけで肩を支えているわけではない
腱板は、
肩の支えとしてとても大切です。
ただ、
肩は腱板だけで支えられているわけではありません。
肩甲骨の動き。
体幹の使い方。
下半身からの力の伝わり方。
投球量。
疲労。
痛みへの不安。
これらも、
肩の支えに関係します。
たとえば、
下半身や体幹が使いにくい状態では、
肩や腕だけで頑張って投げる形になりやすくなります。
その結果、
腱板に負担が集まりやすくなることがあります。
また、
肩甲骨まわりがうまく働きにくい場合も、
肩の支えは崩れやすくなります。
腱板は大切です。
でも、
腱板だけを見ればすべて分かるわけではありません。
投球障害肩では、
腱板を含めて、
体全体で肩を支えられているかを見ることが大切です。
痛みがあると腱板が働きにくくなることもある
肩に痛みがあると、
筋肉は本来の働きを出しにくくなることがあります。
痛みがあることで、
肩に力が入りすぎる。
反対に、力が入りにくくなる。
腕を振るのが怖くなる。
動きが小さくなる。
かばって投げるようになる。
このような変化が出ることがあります。
その結果、
腱板も働きにくくなり、
肩の支えがさらに崩れやすくなることがあります。
つまり、
腱板が弱いから痛い、
という一方向だけではなく、
痛みがあることで腱板が働きにくくなる、
ということもあります。
投球障害肩では、
痛みと支えの関係を、
一緒に見ていくことが大切です。
痛みがある。
支えが崩れる。
力みが出る。
さらに肩に負担がかかる。
このような悪循環になることもあります。
だからこそ、
痛みだけを我慢するのではなく、
肩が安心して動ける状態に戻っているかを見ていく必要があります。
腱板機能は投げた後の反応にも表れる
腱板がうまく働いているかどうかは、
その場の筋力だけでは分かりにくいことがあります。
投げた後の反応にも表れます。
投げた後に肩が重い。
翌日まで違和感が残る。
強く投げた後に痛みが出る。
球数が増えると肩が不安になる。
休むと楽になるが、投げるとまた痛い。
このような場合、
投球の中で肩の支えが十分に働いていない可能性があります。
もちろん、
これだけで腱板が原因と決めることはできません。
ただ、
腱板を含めた肩の支えが、
投球動作の中でどの程度働いているかを考えるうえで、
投げた後の反応は大切な情報になります。
投球障害肩では、
投げている瞬間だけではなく、
投げた後に肩がどうなるかを見ることが大切です。
関連記事:
投球後に肩が痛いときに考えたいこと
休んだ後も、投げたときの反応を見ることが大切
肩が痛いとき、
一度休むことで痛みが軽くなることがあります。
それ自体は大切なことです。
ただ、
痛みが軽くなったからといって、
腱板を含めた肩の支えが十分に戻っているとは限りません。
休んでいる間は痛くない。
軽く投げると大丈夫。
でも、強く投げると痛い。
球数が増えると肩が重い。
試合になると不安が出る。
このような場合、
投球に必要な支えがまだ十分ではない可能性があります。
復帰を考えるときは、
痛みが消えたかどうかだけでなく、
安心して腕を振れるか。
投げた後に反応が悪くならないか。
強度を上げても肩が支えられているか。
翌日に痛みが残らないか。
こうした点を見ながら進めることが大切です。
関連記事:
投げると肩が痛いときは休むべき?迷うときに考えたいこと
腱板機能を考えるときに大切なこと
投球障害肩で腱板機能を考えるとき、
大切なのは、
腱板を「鍛える筋肉」としてだけ見ないことです。
腱板は、
肩を内側から支える大切な組織です。
ただ、投球では、
腱板だけでなく、
肩甲骨、体幹、下半身、疲労、投球量なども関係します。
そのため、
腱板が弱いから痛い。
インナーを鍛えれば解決する。
休めば自然に戻る。
そう単純に考えすぎない方がよいと思います。
腱板機能は、
投げる動きの中で、
肩の支えとして働けているかを見ることが大切です。
ここまでのまとめ
投球障害肩を考えるうえで、
腱板機能はとても大切です。
腱板は、
肩を動かすだけでなく、
肩を内側から支える役割も持っています。
ただし、
腱板は強ければよい、
インナーを鍛えればよい、
という単純な話ではありません。
投球では、
肩が大きく動く中で、
腱板を含めた支えが働いていることが大切です。
また、
腱板だけで肩を支えているわけではありません。
肩甲骨。
体幹。
下半身。
投球量。
疲労。
痛みへの不安。
こうした要素も、
肩の支えに関係します。
投球障害肩では、
痛みの場所だけでなく、
投げる動きの中で肩がどのように支えられているかを
整理していくことが大切です。
腱板機能は、
その中でも重要な一部です。
痛みをなくすことだけでなく、
安心して腕を振れる状態に近づいているか。
そこを見ていくことが大切だと思います。
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次の記事では、
投球障害肩と関節唇について整理していきます。
関節唇という言葉を聞くと、
損傷や手術をイメージする方もいるかもしれません。
ただ、関節唇も、
肩の支えや不安定性を考えるうえで大切な組織です。
次の記事:
投球障害と関節唇について考えたいこと

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